「おい、離せ。貞!」
タオルを洗濯室に置いてぼんやりと廊下を歩いていると、大倶利伽羅さんの声が聞こえてきて思わず足を止めていた。
ちょうど目に入った時計は午後三時過ぎを指している。
いつのまに時間が経っていたのかと驚き、同時にいつ彼は目を覚ましたのかと驚く。
昨日のことがなければここで立ち止まったままではなく、彼の前に姿を見せて声をかけていただろうけれどそれは出来なかった。
「伽羅!」
「……なんだ」
「なんで記憶を失っていたとか、そういう野暮なことは聞かないでいてやるよ。どうせ自分でもわかってないんだろうしさ」
太鼓鐘君の言葉が引っかかり、盗み聞きなんてよくないと思いながらもその場を立ち去れずにいた。
何で記憶を失っていた、ってことはもしかして彼は記憶が戻ったのだろうか。
心臓が大きく鼓動しているのがわかり、つばを飲み込む。
「でもまあ、目が覚めて真っ先に主のところに行ったことは褒めてやるぜ」
「ずいぶんと上からの物言いだな」
そう言って大倶利伽羅さんがため息をつくのが聞こえた。
二人の声が聞こえなくなったと思ったら、バカ野郎という太鼓鐘君の声と何か低いうめく声がした。
何だろうと音を立てないように体を少しずらして、曲がり角にいるであろう二人を視界に入れようとしたけれど、大倶利伽羅さんの顔が見えそうだったので慌てて引っこんだ。
少しずらせばきっと彼の視界に入ってしまう。
「いきなりなんだ」
「うるせぇ、素直に受けとけ。みっちゃんの拳よりずっとマシだろ」
拳ってことはもしかして彼は殴られたの?
思わず声をもらしそうになって手でおさえ、息を呑む。どうして二人が喧嘩なんてしているんだろう。
けれどそれ以上争う声や音はせず、やがて大倶利伽羅さんがため息と共に、悪かったなとつぶやく声が聞こえてきた。
昨日の私を冷たく拒絶した時とはずいぶんと違う、穏やかな声だった。
「俺に謝るより、主を大事にしてやれよ」
「……わかっている」
「なんだよやけに素直で気味悪いな」
「普段素直になれとうるさいのはどこの誰だ?」
「冗談だって。行こうぜ。鶴さんやみっちゃんにも知らせないとな!」
「だからって引っ張るな」
こちらへと足音が近づいてくるのが聞こえて慌てて踵を返した。
足が自然と医務室に向かっていた。けれど部屋の中は当然だけど空っぽで、布団も片付けられている。
戸口で立ち尽くしていると、どうかしたのかと和泉守兼定さんが声をかけてきた。
「あ、えっと」
「大倶利伽羅なら目が覚めて、太鼓鐘貞宗に引っ張られて部屋に戻るのをさっき見たぜ。会いに行ってやったらどうだ」
「でも、私」
昨日のこともあるのでためらうと、和泉守さんは不思議そうに首をかしげ、まあ好きにすればいいと手を振って立ち去ろうとする。
私は思わずその姿を呼び止めていた。
「主と大倶利伽羅のこと?」
私が尋ねると、和泉守さんは眉を寄せて怪訝そうにした。
「はい。あの、恋仲だって聞いて」
「それ、誰から聞いた」
そう問いかける彼の声は鋭かった。すっと細めて私を見下ろす目には怖いほどに冷ややかな色がある。
まるで刀を突きつけられているような錯覚をして、その緊張感に思わず息を呑んで、半歩後ずさった。
けれどなぜかそのまま走り去ることもできなかった。
「あ、あの私……」
どうして和泉守さんはこんなに怖い顔をしているのかわからずにパニックになる。
先輩と大倶利伽羅さんが恋仲なのかどうかを確かめたくて尋ねただけなのに。
「き、きいてはだめでしたか……」
なんとか問いかけた声は震えてみっともなくかすれていた。顔から血の気が引いているのがわかる。
和泉守さんは私をじっと見つめ、そうして目を伏せると大きくため息をついた。
「んなビビることないだろうが、取って食ったりしねーよ」
そう言って和泉守さんはさっきまでまとっていた雰囲気を捨てて、いつも知る彼に戻った。
詰めていた息を吐きだしてそっと胸をなでおろしたけれど、心臓の鼓動はまだしばらくうるさそうだ。
「それで、誰から聞いた?」
私は和泉守さんに、加州さんに聞いたことや、さっき聞いてしまった太鼓鐘君や大倶利伽羅さんの会話、そしてそもそも先輩に大倶利伽羅さんと距離を取ってほしいと頼んだことなど全部話していた。
加州さんの様子から他の刀剣男士も知っているようだから、いまさら隠しても仕方がない。
案の定、彼は眉は動かしたが驚いた様子はなかった。
「私、どうしたらよかったんでしょうか。どこから間違えて……」
「悪いがそれを決めるのはオレたちじゃないんでな、何も言わないでおくよ」
「……」
「なあ。あんたは大倶利伽羅を好きになったのも、どうにかしたいと行動したのも、後悔してるのか?」
「わからないです。でも、私が距離を置くよう頼んだことを先輩は拒否しなかった……」
大倶利伽羅さんを好きになったことに関しては、まだ答えが出そうにない。
「まあ主が何を思ってあんたの頼みにうなずいたのかはオレたちには知る由もないが、あんたはそれが大倶利伽羅のためになると思ったんだろ」
私は無言でうなずく。
あの時は大倶利伽羅さんが苦しまなければいいと思って、自分はいいことをしたとすら思っていたけれど、先輩と彼の関係を知ったいまは罪悪感のようなものを感じていた。
けれど和泉守さんの言う、後悔とはまた少し違うと思う。
「ならゆっくり考えな。それが間違っていたかを決められるのは自分しかいないんだ」
そう言って背を向けて歩き出す和泉守さんを私は静かに見送った。
和泉守さんに言われたことを一晩中考えて眠れない夜を過ごし、朝を迎えていた。
私は何を期待して大倶利伽羅さんに関わろうとしていたのだろう。
先輩に打ち明けた時に言った、どうにか仲良くなれないかと思っているという言葉は嘘じゃなかったけれど、その時すでに心の内では彼に振り向いてもらいたいって願望に変わっていたのかもしれない。
だけど大倶利伽羅さんは先輩と恋仲だった。
加州さんのあの口ぶりからして、この本丸では公認の関係で、そしてたぶん大倶利伽羅さんは先輩を大切にしていたはず。
先輩と話しているときの表情が少しだけ柔らかくなるのがその証拠だ。
同時に、結局私はずっと大倶利伽羅さんにとってうっとうしいだけの存在でしかなかった事実を嫌でも認めなければならなかった。
思い返せば、大倶利伽羅さんは私のことなんて最初から眼中になくて、態度だって記憶をなくす前も後も一貫して変わらなかった。
声をかけると無視はしないまでも疎ましそうな表情を浮かべ、相づちだって打ってくれる方が稀だった。
「ずっと……空回りだったのかな、私」
つぶやけばそれは現実として私に襲いかかってくる。
ひどくむなしく滑稽で、惨めだった。
打ちのめされた気分のままぼんやりと歩いていると、どこからかにぎやかな声が聞こえてきた。
なんだろうと聞こえる声を頼りに足を運ぶと、手合わせなどで使う道場に刀剣男士の皆さんが集まっている光景があった。
間から覗くと、大倶利伽羅さんとへし切長谷部さんが木刀を手に打ち合っていた。周りの男士のみなさんは二人に声援を送っている。
普段の手合わせではこんなにギャラリーは出来ないはずなのに、いったい何があったんだろう。
ちょうど近くにいた歌仙さんに何をしているのかと聞くと、長谷部さんが大倶利伽羅さんに勝負を挑んだとかで、そして多くの刀剣男士たちが応援しているのは賭けも行われているからであるらしい。
「賭け、ですか?」
「どちらが勝つかと鶴丸殿が言い出したことでね。まったく彼はなんだって娯楽にしてしまう」
歌仙さんは仕方ないと言いたげにため息をつく。
「ちゃっかり自分は長谷部に賭けてるくせにその言い草はねーだろ」
そう言って歌仙さんの紙切れを握る手元を指して和泉守さんが指摘すると、歌仙さんは一瞬うろたえてみせたが、咳払いをするとすました表情になった。
「金銭が絡んだものではないのだから問題はないさ」
「賭けなのにですか?」
「金銭の絡んだ賭けは主から禁止されてんだよ。まあ賭け自体良い顔されねーけど。で、今回賭けてんのは今度の大掃除の役割分担ってわけだ」
和泉守さんの手元にも同じような紙があって、彼はその紙を扇ぐように動かしながら説明してくれ、きつい場所の掃除だけはしたくねぇ、と顔をしかめた。
「しかし長谷部の剣幕には正直驚いたぜ。ありゃ大倶利伽羅は分が悪そうだ」
「正直言って長谷部のあれは八つ当たりもいいところのようだけどね。むしろそれを承知で大倶利伽羅が受けて立つとは思わなかったが」
「そりゃ主のこと出されちゃ引き下がれねぇだろうよ。やつなりに思うところもあるだろうしな」
二人の会話はどういう意味なのだろうと首をかしげた時、ひときわ大きな歓声が上がった。
慌ててそちらを見れば、大倶利伽羅さんの手から刀が離れ、そして長谷部さんが片膝をついた状態の大倶利伽羅さんに刀を突きつけながら、二人とも荒い呼吸でお互いを睨み合っていた。
どうやら勝負は長谷部さんの勝利で幕を閉じたようだった。
大倶利伽羅さんに助けられたあの時以来、私は絆創膏を持ち歩くようにしていた。
いまはそれを手に、道場を後にする大倶利伽羅さんの背を追っているところだ。
打ち合いでは木刀を使っていたから真剣のように斬れることはなくとも、充分に傷を負わせることは出来る。
勝負が終わった後の大倶利伽羅さんの頬には明らかに打ち合いで出来た傷があったので、手当てをして、そしてついでに話が出来ればと思ってのことだった。
声をかけるタイミングを見計らっていると、ふと誰かから呼びかけられたようで彼が立ち止まった。
大倶利伽羅さんの視線の先、横の廊下から現れたのは先輩だった。
私は思わず近くの戸が開いていた資材置き場に入り、息を潜める。
先輩の声で、さっきの打ち合いで出来た傷の手当てをしようと大倶利伽羅さんに言うのが聞こえてきて、私はほとんど無意識に手の中の絆創膏を握りつぶしていた。
廊下の掲示板には、今日が大掃除の日だと知らせる紙が貼られている。
もうすぐ始まる連隊戦を前に今のうちに年末年始の準備をするのだという。
そして私はというと、あの後こんのすけがやってきて研修の終了を知らされており、いまは母屋の方の掃除の手伝いとして各部屋から集めたごみを敷地内にある集積所に運ぶ途中だった。
多くゴミの集まったそこに持ってきた袋を置く。
この大掃除の手伝いが終われば、私は寝起きしている庵に戻って自分の荷物を片付けて部屋の掃除をしないといけない。
短くて三か月ほどの研修期間は正直もっと長引くと思っていた。
「……寂しいなぁ」
ほとんど無意識につぶやくと、涙が流れて視界がにじんでいた。
「あ、あれ……?」
慌てて涙を拭うけれど、後から後から溢れてくる。
戸惑いながらも、涙の意味はすぐに理解できた。
寂しい。もう大倶利伽羅さんに会えなくなってしまう。
あれから姿を見ることはあっても、声をかけることは出来ずにいた。
大倶利伽羅さんは記憶を失っていた間のことは覚えていないらしい。だからあの時の私に対する拒絶も覚えてはいないということになる。だけど私はそもそも彼には相手にされていなかったから、何もなかったかのように声をかけたとしても結果は変わらないのだ。
しばらくそこで泣いていると、足音が聞こえて思わず振り返り、目を瞠った。
今日は大掃除の日なのだからここに誰かが来る可能性をすっかり失念していた。
しかも来たのは、一番会いたいけれどこんな状況では会いたくなかった相手だ。
大倶利伽羅さんは処分するためなのだろう、ひもで縛って積み重ねた雑誌を手にしていた。
そして私の顔を見るなり眉を寄せた。
慌てて涙をぬぐい、ごめんなさいと謝りながら集積所の前から退く。
大倶利伽羅さんは雑誌が積みあがっているところに持ってきたものを重ね、そして私のことなど見なかったかのように立ち去ろうとしたので、思わず声をかけていた。
「あの……!」
彼は立ち止まり、渋々といった様子でこっちを振り返る。
「……なんだ」
初めて会ったときよりも素っ気ない態度に肩が跳ね、口ごもりながら視線をさまよわせる。
そんな私の態度に彼は面倒くさそうな表情を隠すことなく息を吐き、立ち去ろうとするので急いで、待ってくださいと声をかけた。
「だからなんだ。話があるならさっさとしてくれ。忙しいんだ」
苛立ち、突き放す響きを持った声に思わず身がすくんだが、ここでちゃんと話をしないと彼はきっと二度と立ち止まってはくれないと自分を叱咤した。
「……あの、私。もうすぐ研修が終わるんです」
「聞いている。だがそれが俺に関係あるのか」
冷たい声と答えにひるみそうになる気持ちを、関係ありますと吐きだして抑えつけた。
「私、大倶利伽羅さんに言っておきたいことが……言わなきゃいけないことがあるんです」
ゆっくりと息を吐きだし、彼をまっすぐ見つめる。
「──私、大倶利伽羅さんが好き、です」
とうとう言ってしまった。
言わないままこの本丸を去ることも考えたけれど、それではいつまでも引きずるような気がしていたので、きっとこのタイミングしかなかったのだろう。
涙に覆われた視界は滲んでいるので、彼がどんな表情を浮かべているのかははっきりしない。
一筋頬を流れたところで、彼は息を吐きだした。
「……もし、あんたを勘違いさせたなら謝る」
「勘違い……」
オウム返しの声が震える。
心のどこかでわかっていたはずなのに、実際に口にされるとその一言はひどく胸に突き刺さった。
「あの時あんたに万が一があれば責任を問われるのは主だ。それを避けたかった。ただそれだけだ」
淡々とした言葉のどこにも嘘やごまかしは見えなかった。
彼にとって当然の、単なる事実を口にしているだけで私の告白に対して何を思うわけでもない。
本当に最初からずっと私の空回りでしかなかったのだと改めて思い知らされて胸の痛みはひどいけれど、一方でここが引き時なのだと頭の冷静な部分が告げている。
これ以上は惨めになるだけだ。
唇を噛み、顔をうつむかせるといきおいよく頭を下げる。
「ごめんなさい……どうしても言っておきたかったんです。これで最後だから……」
涙をぬぐって、もう一度頭を下げるとわき目もふらずその場から駆け出した。
本丸を後にする日、荷物を手に先輩の元へと挨拶に向かった。
大倶利伽羅さんのことに対しての気持ちにはまだケリがつけられていないのと、先輩に対するわだかまりが解消されたわけではないので、世話になったお礼を口にする私の声はどこか硬く、それを他人事のように感じていた。
それでも今日が最後なのだからと自分に言い聞かせる。
頭を上げると、先輩と目が合った。
先輩はそっとほほ笑み、研修お疲れさまでしたと言って、紙袋を渡してくる。
「これ……」
中を見ると、以前に私がいただいて好きだと言った先輩の作ったケーキがきれいにラッピングされて入っていた。
こんなことくらいしかできなくて、と先輩は申し訳なさそうな表情を見せる。
紙袋を持つ手に無意識に力が入っていた。
お菓子ひとつで傷ついた私の心が癒えるわけではないと反発する心と、私への悪意なんて欠片もない先輩の表情を見ていると胸の奥から何かが突き動かして、口が勝手に開いていた。
「あ、の……私が大倶利伽羅さんのことを相談した時、先輩はどんなことを考えていたんですか」
大倶利伽羅さんと恋仲だったんですよね、と続いた言葉はしかし尻すぼみになる。
それでも伝わったようで先輩は目を丸くし、そして眉を下げて顔を曇らせると、それについては本当にごめんなさいと勢いよく頭を下げてきた。
そうしてぽつぽつと話し出した。
実はあの頃、先輩は大倶利伽羅さんとの関係に少し悩んでいたらしい。
そのため私が相談した時、彼との仲をはっきりとは言えず、曖昧なことしか返せなかったのだそうだ。へたなことを言って私の気持ちを否定したくなかった、とも。
けれどそのことが結果的に私や大倶利伽羅さんを振り回して傷つけてしまった、と先輩は声を震わせた。
ごめんなさいともう一度頭を下げる姿に、私の脳裏では加州さんに言われたことがよみがえっていた。
『後輩ちゃんが主のことをどう思うのかなんてそれは後輩ちゃんの自由だから言わないけどさ、確かめもしないうちに決めつけるのはやめとけば』
ハッとして、膝の上で拳を握りしめる。
私は大倶利伽羅さんへの気持ちで目が曇っていたのかもしれない。
先輩は先輩で悩んでいたのに、私の気持ちを否定しないでいてくれた。なのに私は、先輩がみんなに言いふらしたんじゃないか、なんてひどい誤解をしてしまった。
自分の気持ちしか考えていなかったのだ。
そこから連鎖的に、そういえば途中から執務室にあまり足を運ばなくなっていたことを思い出し、いまさらにここへ来た当初の決意も吹き飛んでいたことに気づく。
先輩が引き受けてくれなければ私の研修はもっと後になっていたのに、私は恋にうつつを抜かしておろそかにしていた。
そのことを含めて研修中の態度を謝ると、先輩は不思議そうな表情を浮かべる。
執務室から遠ざかっていたことを説明すれば、なんだそんなことと先輩は笑って、任せた仕事はきちんとしてくれていたのだから謝罪の必要はないと首を振る。
先輩は気にしていなくても、長谷部さんからは注意もされていたことも今更に思い出して、ここでの自分の言動を思い返すと顔から火を吹きそうだ。思わず顔を手で扇ぐ。
私の中から先輩に対するわだかまりはどこかへ吹っ飛んでいた。
「お話は済みましたか」
軽快な音と共に管狐のこんのすけが現れ、そろそろ時間ですと告げる。
私は慌てて姿勢を正し、そうして先輩に頭を下げた。
「先輩……ありがとうございました。決してここでの経験を無駄にしないと約束します。正式な審神者になった時、胸を張ってご挨拶にうかがえるようにします!」
決意を述べて上げた私の顔はきっと無理をしているように見えるかもしれないけれど、見栄だけは張っていたかった。
いただいた袋をしっかりと抱きかかえて、荷物と共にそれじゃあと立ち上がる。
大倶利伽羅さんへの想いを完全に吹っ切るにはもう少し時間がかかりそうだけれど、それでも変な期待がないとわかっている。あとは傷をどう癒すかの問題だ。
「ありがとうございました。三カ月間、お世話になりました」
深々と頭を下げて、先輩や刀剣男士の皆さんに見送られて私は屋敷の門の外へと足を踏み出した。
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